フリスビードッグを、速く走らせるためには

質問というか、問いをいただきました。

『戻りが遅いので、もっと速くなるようにしたいのですが、どうしたらよいのでしょうか?』

犬といっしょにフリスビーをやるようになり、大会に参加するといろいろな犬たちを見るようになります。

飼い主がディスクを投げると、犬は一生懸命走ってディスクを追います。
そして、ディスクに追いつきキャッチします。

だいたいどの犬も、地面に落ちたディスクを拾うよりも、空中でキャッチするほうが好きなようです。
なので、ディスクを追うときは、全力で走る犬がほとんどです。

さて、キャッチした後が問題です。
犬はキャッチしたあと、ディクスをくわえて飼い主のもとへ走ります。
そのときの、走り方ですが、

1.全力で走る
2.ゆっくり走る
3.トコトコ走る
4.歩き・・・

まあ、いろいろな犬たちがいるわけです。
1分間で何回スロー&キャッチができるかを競うのですから、なるべく速く帰ってきてほしいわけです。
さて、では、どうやって速く走って戻ってきてくれる犬に育てるか・・・についてです。

私がフィールド系のラブラドールを育ててきたごく狭い範囲の経験での話ですので、他の犬種などにはあてはまらないかもしれません。
あくまで私見ですので、その上でご参考にしてください。
私の育てた歴代の犬たちの大会動画を下にのせますので、戻りのスピードをみてください。


初代のくのちゃん。
走るピッチが速くて、戻ってくる姿を見ているだけでも嬉しかったです。


2代目ミンミン。
軽い走りですね。


3代目ビスケット。
ちょっと足が長くなってストライドが大きくなった分速くなった気がします。


4代目のドリちゃんピンちゃん。
6投入るようになりました。

①飼い主との関係性
まず、いちばん大事なことは、犬が飼い主のことを大好きである、絶対的に信頼していることです。
ノーリードでフリーにしているとき、飼い主が呼んだら全力で走って戻ってきてくれる、そんなふうに育てる。
飼い主のもとに戻ってきたら、犬をよく褒めてあげることです。
ただし、ごほうびのフードはNGです。私は訓練に関して、一切フードは使用しません。
飼い主のことがあんまり好きではない犬は、全力で戻ってこないでしょう。
叱られたり、説教されたり、ぺんぺんされたりするのはイヤですね。
犬に好かれる飼い主でいましょう。

②レトリーブしてきたら、よーくほめる
飼い主が呼んだら必ず喜んで戻ってくる!ができたら、つぎにレトリーブの段階です。

ただし、ディスクや物を投げる前に、犬が必ずくわえている物を離すように訓練しておく必要があります。
飼い主が手に持っているものを、『よし!』などのコマンドでくわえさせ犬とひっぱりっこをします。
犬はよろこんで引っ張り興奮してきます。そこで、『離せ!』や『ギブ!』『アウト!』などのコマンドですぐ離すように訓練します。
物を投げるのは、『ギブ!』や『アウト!』が完璧にできるようになってから、です。
これができていないと、持って帰ってきたディスクをくわえたまま離さないで、競技の1分間が終わってしまうチームになってしまいます。

さて、レトリーブの練習についてです。
はじめは、近くに投げてみます。
犬は拾って持って帰ってきます。
犬が持ってきたら、まずは犬の体全体を両腕でかかえて抱き寄せて、よーくほめてあげます。
持って帰ってきた物は、とりあげません。
『持って帰ってきた』という犬の行為を、よーくほめてあげます。
ディスクの大会では、すぐにディスクを取り上げて投げないといけませんが、練習の段階では時間は関係ないので、『持って帰ったら、飼い主にほめてもらえてうれしいな!』『ほめてもらえるから、がんばって持って帰ろう!』という気持ちにもっていきます。

もってきたよ!ほめてほめて!とだんだん戻りが速くなるはずです。
これがうまくいくようになると、犬はほめてもらうために、再度ものをなげてほしいので、もってかえってきたものをすぐ離すようになります。

③犬がキャッチして振り向いたら、飼い主が全力で逃げていく

②のレトリーブの段階が完璧に仕上がったら、ディスクの練習をはじめてもOKです。
最初は短い距離で、やさしい軌道のディスクで練習します。
そして、戻りの走りを速くするために、犬がキャッチして飼い主のほうを向いた瞬間に、飼い主は犬とは逆の方向へ思いっきり走るようにします。
犬は、飼い主が逃げていくので、飼い主めがけて全力で一生懸命走ります。
飼い主は疲れますが、とにかく一生懸命走って、犬に戻りは全力で走ることを覚えさせます。

④受け渡しは、人間に飛びつかせる
ラブラドールやゴールデンでは、ドッグロケットといわれるような、人間に飛びつく犬が多くいます。
うれしくて、ぴょんぴょん飛びつくようです。
ようは、飛びつくのが大好きなわけです。
ディスクをもってきた犬に、最後に飛びついて前足を人間にかけて、ディスクの受け渡しをするように訓練します。
ただ持って帰ってきて渡すのにくらべ、飛びついて渡すのは格別に楽しいようで、人間の手前10mくらいから人間までのスピードが落ちずに受け渡しができるようになります。
犬に飛び蹴りをくらわせられるような激しい衝撃があり、飼い主にとってはかなり辛いですが、戻りは確実に速くなります。

⑤犬が疲れている時には、フリスビーの練習は絶対にしない
どんなに優秀な犬でも、疲れているときは速く走ることはできません。
フリスビーの練習をするときは、犬がエネルギー充填率100%のとき、やるき満々のときにやりましょう。
練習をする公園につきました。犬をケージから出したら、ちょっと体をほぐさせて、短い距離(5Mくらい)を何回か投げて準備運動したら、あとは5〜8投くらい投げて犬のディスクの練習は終わりです。
少ない回数で毎回練習することで、犬は少ない回数で全力を出し切るように速く走るようになります。余力を残しておく必要がないことを犬に教えるのです。

飼い主が1日時間のある日ならば、1R目を9時ごろに、2R目を13時ごろに、FRを15時ごろに練習するとよいかもしれません。
余った時間は、飼い主のスロー練習に使えばいいですよね。
犬が疲れるほど、20投でも30投でもなげて、30分くらい休憩して、また20投でも30投でも投げるような練習をしていると、犬の戻りは遅くなります。
また、フリスビーの練習をするときに、『犬が興奮しすぎてコントロールできないから、犬を疲れさせてから練習する』という話も聞きますが、犬をコントロールできない飼い主のいいわけでしかありません。犬が興奮しても飼い主いうことを聞くように訓練するスキルを、飼い主が身につけましょう。
犬の興奮している激しいエネルギーを、『ディスクを絶対にキャッチしてやる!』という気持ちや、全力で戻るエネルギーに変えてやることが大切です。

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